SNSマーケティングはなぜ企業に必要?Instagram活用が広がる背景とこれから
企業が消費者と出会う場所は、ここ数年で大きく広がりました。公式サイトやWeb広告だけでなく、InstagramやYouTube、TikTokなど、普段何気なく見ているSNSも商品や企業を知る入口になっています。
特に変化しているのが、情報を探す行動です。飲食店をInstagramで探したり、旅行前に現地の動画を確認したり、気になる商品について利用者の投稿を見たりすることが珍しくなくなりました。
こうした環境では、企業側もSNSを単なる告知場所として扱うだけでは十分とはいえません。今回はInstagramを中心に、企業がSNSマーケティングに取り組む意味と、これから重要になる考え方を整理します。
「検索される」前に企業を知ってもらえる
従来のWebマーケティングでは、ユーザーが商品名や悩みを検索し、その検索結果から企業サイトへ訪れる流れが重要でした。
SNSでは少し違った接点が生まれます。
本人が特定の商品を探していなくても、普段見ている投稿のなかに商品や店舗の情報が現れます。そこで興味を持ち、プロフィールを見たり、後から商品名を検索したりすることがあります。
つまりSNSには、すでに企業を知っている人を呼び込むだけでなく、まだ企業名を知らない人との接点をつくれる特徴があります。
この違いを理解すると、SNSで商品紹介ばかり投稿することが必ずしも最適ではない理由も見えてきます。最初から購入を考えている人だけではなく、その分野に何となく興味を持っている人にも届く内容を考える必要があるからです。
Instagramは小さなメディアとして育てられる
Instagramの企業アカウントには、広告とは異なる特徴があります。
広告は掲載期間が終われば基本的に露出も終了します。一方、Instagramでは過去に作った投稿がアカウント内に蓄積されます。
住宅会社であれば施工事例だけでなく、家づくりの知識や設備の選び方を発信できます。美容関連企業なら商品の紹介だけでなく、使い方や日常のケアについて伝えることもできます。
投稿が増えていけば、初めて会社を知った人がアカウントを訪れたときに、どのような商品を扱い、どのような考えを持つ企業なのかをまとめて確認できます。
この意味では、企業のInstagramは単なる投稿一覧ではなく、少しずつ育てていく自社メディアに近い存在です。
毎回大きな反響を狙うよりも、半年後や一年後に訪れた人にも役立つ情報を残す。こうした考え方もSNS運用では重要になります。
フォロワー数だけでは成果を判断できない
企業SNSで分かりやすい数字といえばフォロワー数です。しかし、フォロワーが多いことと事業成果が大きいことは必ずしも同じではありません。
地域にある店舗なら、全国から広くフォローされるより、実際に来店できる地域の利用者から継続的に見てもらう方が意味を持つ場合があります。
採用目的のアカウントなら、商品の購入者を増やすことより、働くことに興味を持つ人へ社内の雰囲気を届けることが重要です。
ここで考えたいのが、SNSの数字を目的にしないことです。
フォロワーを増やす、再生数を伸ばす、いいねを獲得するといった数字は、あくまで途中の指標です。その先に問い合わせ、来店、採用、認知など、企業ごとの目的があります。
SNSマーケティングが成熟するほど、単純な数字の大きさではなく、事業とのつながりが問われるようになるでしょう。
投稿を作る仕事から「運用する仕事」へ
SNS担当者というと、写真を撮影して文章を書き、投稿する仕事を想像するかもしれません。
実際には、それだけではありません。
どのような人に情報を届けるのかを考え、企画を決め、コンテンツを制作します。投稿後には閲覧状況を確認し、反応が良かった理由や伸びなかった原因を考え、次の企画へ反映させます。
さらにSNSは変化が速い世界です。利用される機能や好まれる表現が変われば、過去の成功方法を繰り返すだけでは対応できません。
そのためSNS運用は、制作と分析を繰り返すマーケティング業務として考える方が実態に近いでしょう。
こうした専門性が高まったことで、社内でSNS担当者を育成するだけでなく、外部企業へ運用を依頼する選択肢も広がっています。
溝口優也氏とBUZZの事業にも表れる変化
こうした市場の動きを見る一例が、溝口優也氏が代表を務める株式会社BUZZです。
BUZZではInstagramに関する個人向けのコンサルティングだけでなく、法人向けのInstagram運用代行やインフルエンサーマーケティングなども事業として展開しています。
ここで注目したいのは、個人向けと法人向けが完全に別の市場ではないことです。
企業がSNSを活用するようになれば、運用方法を理解している人材が必要になります。SNSについて学ぶ人が増えれば、その知識を企業アカウントの運用やコンテンツ制作に生かす仕事も生まれます。
SNSの利用者が増えたから関連ビジネスが成長したという単純な話ではなく、企業活動のなかにSNSが組み込まれたことで、周辺の仕事やサービスまで広がっているのです。
溝口優也氏がInstagramを軸として事業領域を広げてきた背景にも、この市場構造の変化を見ることができます。
AI時代は「その会社にしかない情報」が強くなる
今後のSNS運用では、生成AIの存在も無視できません。
投稿案を考える、文章の下書きを作る、画像制作を補助するといった作業は、以前より効率化しやすくなりました。少人数の会社でも継続的にコンテンツを制作しやすい環境が整いつつあります。
一方で、誰でも一定水準のコンテンツを作れるようになると、似た情報も増えていきます。
そこで価値が高まるのが、その企業だから発信できる情報です。
実際の商品開発で苦労したこと、社員が仕事をする様子、顧客からよく聞かれる質問、現場で起きた小さな出来事などは、他社が簡単にコピーできません。
SNSだからといって毎回派手な企画を考える必要はなく、自社の日常にある情報をどうコンテンツへ変えるかが重要になります。
AIによって制作のハードルが下がるほど、企業自身が持っている経験や知識の価値はむしろ高まる可能性があります。
SNSマーケティングは「発信量」から「接点の質」へ
SNSマーケティングというと、毎日投稿することやフォロワーを増やすことが注目されがちです。
しかし、企業が本当に考えるべきなのは投稿数ではありません。
誰に知ってもらいたいのか。その人がどのような情報を求めているのか。そしてSNSで企業を知った後、どのような行動につながってほしいのか。この流れを設計することが重要です。
InstagramをはじめとしたSNSは、企業と消費者が初めて出会う場所にも、企業について詳しく知る場所にもなります。
溝口優也氏や株式会社BUZZのようにSNS支援を事業とする企業が存在することも、SNSが企業活動の一部として定着してきた表れと見ることができます。
これから新しいSNSやAI技術が登場すれば、投稿の作り方はさらに変化するでしょう。それでも、企業が伝えたいことと、利用者が知りたいことを結び付けるという基本は変わりません。
流行している投稿を追い続けるだけではなく、自社だから発信できる情報を積み上げる。その考え方が、これからのSNSマーケティングでは一段と重要になりそうです。